ベンチに腰掛けたまま、体だけこちらに向けて。
じっと、見据えているぼくを、月子ちゃんを。

「ぼ…っ、わ、あ、あたし…! ものすごく! 気分が悪くて…!!」
「…へぇ…?」

「今ちょっと一瞬意識も飛んでまして…! 今日は、こ、このへんで…!!」
「…ふぅん…?」

ぼくを見据えたまま、ゆっくりと昴流さんが立ち上がった。
びくりと体が反応し、反射的に一歩退く。

じゃり、と後ずさりする砂の音がやけに響いた。

「…っていうかさぁ…」

あ、と思った時にはもう。

「なにそれ、バカにしてんの?」

さっきまでの顔とは、違った。