体温と呼吸が知らず上がっていく。
状況についていけない。
体のあちこちがじわじわと痺れていく錯覚がした。

そんなぼくを置いて、もぞりと背中に違和感。
背中に回された八坂さんの手が、制服の下を這っていた。

「……ッ、な、に…ッ」

思わず大きく身じろぎした。
だけど思ったよりも、体は動かない。力が入らない。

とにかく腕の中から抜け出そうと試みてみたけれど、中途半端に力を込めた腕は途中でかくんと折れて、逆に八坂さんの胸の中に倒れこむ形になってしまった。

「おっと、なに、今日はヤケに、積極的?」
「……ッ」

ぐ、となんとか力を込めて彼の胸から離れる。
だけど八坂さんの片腕一本で、すぐにまた引き戻された。

今度は、離れられない。
すぐ頭上で彼が笑う吐息を落とした。

「抵抗、してみる?」