それを見た途端に、どくりと体全体が大きく脈打ったのを覚えてる。
手が震えて唇も震えて。
呼吸すらも、上手くできなくて。

イヤな記憶が頭いっぱいに溢れた。
衝動が、湧き上がった。

どうして、また。一体、いつまで。
また殴られるんだろうか。
行かなかったらどうなるんだろう。

そうだ、この前は結局行かなかったも同然だから、その分ひどいことをされるかもしれない。

急激に込みあがる吐き気と眩暈。
手が、震えた。

ぐ、と左手を握る。
携帯を持つ右手にも。

ダメだ。
押さえなくちゃ。
このままじゃ、また。

月子ちゃんに痛い思いをさせてしまう。
入れ替わった後で、月子ちゃんに。


そんなことしたら今度こそ、自分で自分を、許せなくなる――