「ちょ…っ、ちょっと…?!」
「…は、ははは! マジかよカッコわりぃ…! う、うける…っ」
朦朧とする意識の向こうで笑い声が響く。
もはや限界だった。
これが今のぼくにとっての精一杯。
カッコわるい。
情けない。
そんなのもう充分承知の事実なんだけど。
「はは、はー。まぁ、今日のところは退いてあげるかぁ、その勇気に免じて」
「……それはどうも」
地面に座り込むぼくの背をさすりながら、月子ちゃんが言い放つ。
ぼくはもう一言も発せられない。
今出てるものを押さえ込むのでいっぱいいっぱいだったから。
「訊きたいことあったけど、学校でいいや。どうせ毎日来てんでしょ?」
「そうですね」
「つれないねぇ、まぁ次会ったその時は」
ぐい、と、月子ちゃんの服を掴んで引き寄せるのが、視界の端に見えた。
見えたけどもうぼくには何もできなくて。
その冷たい声音だけがやけに鮮明に聞こえた。
「あん時の続き、してあげるよ」