人に虐げられて生きてきた人間は、どうしたって自分を卑下せざるをえないし、生き方を自由に選べない。

生きる為の勇気や希望を、奪われてしまうから。
心や体をぺしゃんこに、潰されてしまうから。

だけど結局最終的にそれらすべてを奪うのは、自分自身でしかない。
自分でしか、選べない。

「あたしだって散々そんなことアイツらに言われたけど」
「……え…」

「でも自分のことクズだなんて思ったこと、一度もない」

生きてく中でそれでも、善いことばかりしてきたわけではないし、自分を最低だなと思うこともあるけれど。

「それは他人の評価であって、あたしを知らない人間のレッテルだもの」
「…………」

自分のこと嫌いになる時だって、ある。
それでもあたしの中には、中心にはいつだって。
潰されないものがあったから。

それを糧に生きてこれた。

「あなたが自分で自分をそう思うから、動けないんでしょう」