冬の空はあっという間に日が暮れる。
外灯が点き、つられるように明かりの灯る家々。

夕餉の匂いがあたりの家から立ち込め出す。
すぐ後ろの月子ちゃんの家にも明かりが灯り、ごはんの匂いがしていた。

「あとちょっとなんだけどなー」
「ビビってすぐ足着いちゃうんですよね」

満くんと望くんのふたりが家の前の壁に背を預けながら、残念そうにぼくを見る。
残念なのはぼくも同じだった。

「あんた、どんだけ臆病なの」

朔夜くんがすぐ後ろで、呆れたように呟く。
まったくもって同感だ。
ぼくもぼく自身にがっかりだった。

「ご、ごめん、ね…その、転ぶのがこわくて…」

情けなく言ったぼくに、朔夜くんが息を吐いた。

「痛いの怖がってたらなんにもできねーだろ。何かやろうとする時には大抵痛みが伴うんだよ」