「…あ、そういえば…」

ふと彼が思い出したように口を開き、つられるように視線を向ける。

「…なに」
「あの、さっき携帯でいろいろ調べてて、気になったものがあって…」

「……」
「ぜんぜんまったく、関係ないかもしれないんだけど…」

「……だったらいいわよ」
「え! そんな…」

薄々感づいてはいたけど、面倒くさいなこの人。
しかも見た目が自分なだけに、そこまで邪険にも扱えないし。

「…手短にドウゾ」
「えっ、えっと今日、流星群が、きてたらしいよ…!」

「…流星群…?」
「そう、オリオン座流星群、だって…時間的にはもう、ピークは過ぎちゃったみたいだけど…」

「……」
「……」

「…で?」
「え…っと、タイミング的に、何か関係あったり、しないかなぁ、と…」

「…………」

あたし達が階段から転げ落ちている間に、流れ星が郡になって空を渡っていた、と。

「なに、あなたはこうなることを願ってたってこと?」
「ち、ちがうよ…!」

あたしの言葉に彼が慌てて勢いよく首を振る。
冷めた物言いになったのは、やましかったのは自分の方だったから。

別にこんなのを、望んだわけではなかったけれど。

流れ星にする願い事なんて、流れ星が叶える奇跡なんて。

そんなのない。
ひとつだって。