月子ちゃんの自転車を借りて、家の前の道路でぼくは自転車に跨る。
一応外なので、パーカーのフードは被った。
念の為というか、外はやっぱりまだどうしてもこわくて。
自転車のサドルが月子ちゃん仕様で低かったけど、直すこともできない。
直し方も分からない。
とりあえず跨ってみたものの、この後どうすれば良いのかわからなくて体が固まった。
そんなぼくを少し離れた場所で、満くんと望くんが見ていた。
「乗り方教えるっていっても、後ろ押さえるとか流石にムリくね?」
「体格が違うしね。いっそ補助輪とか付けた方が良いんじゃないですか?」
「う、えっと…」
残念なカンジのため息をつかれるけれど、どうしようもできず。
ヘンな汗が額からだらだらと流れた、その時。
「ほらほら、助っ人だよ」
弦くんが明るく笑って連れてきたのは――
「朔夜」
「朔夜くん」
思いっきり不機嫌な様子を顕にした、朔夜くんだった。