「一応お客様だから、あんまり失礼のないようにね」
「月子の友達?」

「ちがう」
「ちがう」

またもや絶妙のタイミングで、はっきりと否定されてしまった。
なぜか先ほどまで姿の見えなかった朔夜くんにまで。
どこから出てきたんだろう…またすぐに姿を消してしまったけれど。

月子ちゃんの家はうちと違って、広い庭付きの1階建てだった。
襖とスライド扉で区切られたほとんどの部屋が開け放されていて、どこに誰が居るか見回せばすぐに目につく。
あえてそうしてあるのだろうと思った。

今はひとつだけ扉の閉まった部屋があって、そこで夜勤明けのお母さんが休んでいるらしい。

「瑠名は今お母さんの部屋でお昼寝してるみたい。まぁ起きた時に居たら紹介するわ」
「えー珍しい、月子ちゃんいつも真っ先に瑠名を自慢するのに」

弦くんの言葉に、あ、紹介する気全くないな、と悟る。

やっぱりちょっとショックだったけど、何も言わないでおいた。