また下らないことを考えていた思考を振り払うように、月子ちゃんから視線を逸らしたその先に今度はふたりの男の子が居た。
物珍しげにぼくをじっと見上げている、同じ顔がふたつ。
「うわー! すっげーハデな頭!」
「生まれつきなんですか? 本当に? へー…興味深いな」
好奇心に満ち溢れた目と怪訝な眼差しとをそれぞれに向けられて、思わず一歩後ずさる。
チキンなぼくはすぐ後ろに居た月子ちゃんの影に慌てて隠れた。
月子ちゃんの体に入れ替わった際にちらりと姿を見たことはある。
だけど大体がすぐに逃げ出してしまっているせいで、ほぼ初対面に等しいのだ。
「満、望、挨拶」
月子ちゃんの一声に、ふたりはぼくに姿勢を正して向き直る。
つられてぼくも姿勢を正した。
「ちは! 山田満、小学3年生です!」
「はじめまして、山田望です」
「うちの三男と四男ね。一卵性なのよ、こう見えても。まぁ顔はそっくりだけど中身は正反対なの」
「す、鈴木陽太です…」
以前家族の話をした時に聞いてはいたけれど、実際に会うと想像していたのと違った印象に思える。
双子の兄弟を見たのも初めてで、月子ちゃんの後ろに隠れながらも、思わずまじまじと見つめてしまう。
顔は同じでも性格は違うみたいで、満くんは顔や膝のバンソーコから見ると、やんちゃな性格のようだ。
望くんはメガネをかけていて、読みかけなのかハードカバーの本を手に持っていた。