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「えー! うそ、地毛なの? すごい綺麗なプラチナブロンドってやつだね! うわぁ少女マンガの王子様みたい、いいなぁ!」

「え、えっと、はじめまして…鈴木、陽太です…?」
「はじめまして、次男の弦です、えっと、月子ちゃんのお友達…?!」

「ちがう」
「ちがう」

綺麗にハモったのは、月子ちゃんと朔夜くんだ。

ふたりしてそんなハモってまで否定しなくてもよいのにと思ったけれど、目の前の弦くんのキラキラした眼差しに若干圧され気味で、それどころでもなかった。

家にお邪魔したぼくは、やはり失礼だと思いフードのパーカーは下ろしたままにした。
伊達メガネだけは外せなかったけれど。

家の中に居た弦くんは帰ってきた月子ちゃんを見て、少し涙ぐんでいた。

ぼくは心の底から反省した。
自分の後先考えない行動とワガママが招いた結果を目の当たりにした気がした。実際そうなのだけれど。

「弦、ごめんね、心配かけて」
「もう、ホントだよ、びっくりしたんだから。携帯何回かけても出ないし」

弦くんの言葉に、あ、と月子ちゃんとこっそり目を合わせる。
すっかりその存在を忘れていたのだ。