「──……、」
そんなことを言われたの、生まれて初めてだったから。
どうしたら反応したら良いのかもわからず、本能的に真っ先に、涙が滲んだ。
だけど今度はなんとか零さないように堪えながら、震える手にありったけの力を込める。
それからゆっくりとパーカーのフードをおろした。
途端に視界が開けて、明るい自分の髪色に日の光が反射して、眩しくて。
上手く目を開けていられなかったけれど、それでも。
言わなくちゃと思った。
「ぼく、は…っ、鈴木、陽太と、いいます…月子ちゃんの、く、クラスメイトで、今はいろいろ、助けてもらってて…! こ、この髪は、地毛で…、生まれつき、なんです…! 染めたりは、してません。悪いことも、してません…! 月子ちゃんといっしょに、ごはんを食べに来ました……!!」
月子ちゃんが隣りで笑ってくれていた。
とても小さな小さな笑みだったけれど。
だけどそれがぼくの、勲章になった。