「あんたのその頭は、染めてんの? そっち系のひと? 月子を呼び出したって、なんかヘンなことさせてんじゃねーだろうな」

朔夜くんから、ピリピリとした敵意が滲み出るのを直に感じた。
ぼくは思わず反射的に、パーカーのフードの端を強く引いた。
髪色も顔も、フードの奥に押し込めるように。

こんなの、慣れていたはずなのに。
胸が軋んで上手く声が出せなかった。

「…朔夜」
「だって友達には見えねーし、月子が今まで黙って家抜け出すことなんて、なかっただろ1度だって」

「…確かに友達ではないけど」

躊躇なく言い放った月子ちゃんのその言葉に、一層胸が、痛んだ。

イヤだな、どうしよう。
また、ぼくの、悪いクセ。

今すぐこの場からいなくなりたい。
逃げ出したい──

「友達ではないけど、同士みたいなものよ。ここに居てくれないと、困るの」