“可愛い”なんて、あたしなんかより本当に可愛いひーに言われるとむかつく。


“優しい”なんて、あたしみたいな偽善じゃない本当の優しさを持つひーに言われると、めちゃくちゃ惨めになる。



“はるになりたい”



──あたしは、ずっとひーになりたかったよ。



誰からも好かれて、いつもみんなの中心にいて。


あたしを影とするならば、ひーは光だ。

いつも隣同士に在るけど、相反するもの。


光があると影ができる。
逆に言えば、光がないと影は存在を示すことができない。


まさに、ひーとあたし。


ひーがいなきゃ、あたしはみんなからただのクラスメイトとしか思われなかっただろう。


だからこそ、ひーが嫌いで。


ひーみたいになりたかった。


いつもまぶしいぐらいに輝いているひー。


あたしも、ずっとそんな風になりたかった。


だけど、あたしが“光”になることは叶わない。



あたしは……所詮“影”だから。



光と影が混ざることなんてない。