10年以上も一緒に過ごしてきたから、作り笑いなんてものは一発で見破ってしまう。


「ひー。手術終わったら、何個でも買ってあげるから」


「手術が成功した時のご褒美……ってこと?」


「バカ。手術の成功なんてもう決定事項でしょ」


さらりと言ってのけると、ひーはひどく驚いたような顔をした。


「あ、ごめん。プレッシャーかけちゃったね」


「ううん!」


ひーは、あたしの右手を力強く握る。



「はる、私のこと信じてくれてるんだね!」



そして、嬉しそうにブンブンて握った手を上下させた。



「当たり前でしょ!」



あたしもにっと笑ってやって、繋いだ手を握り返してあげた。



「あ、そうだ!



高村くんが思い出したように声を上げ、「伊沢!」とあたしを手招きする。


「早く、あれ渡せよ!」


……あ、すっかり忘れてた。


「ひー、ちょっと目つぶってて」


不思議そうに首を傾げながらも、ひーは言われた通りに目を閉じた。


そして……今日完成したばかりの千羽鶴、そして色紙をひーの目の前に置いた。