高村くんと一切話さなくなった。
あたしが、徹底的に避けているからだ。
だって……
「ファーストキスだったんだよ!?」
某ファミレスにて。
学校帰りにひーと立ち寄って、話を聞いてもらうことになった。
「高村くん……意外とやるわね」
ドリアを一口運びながら、どこか楽しそうに笑うひー。
「もう我慢出来なかったんでしょうね。はる可愛いもん。
二人きりの保健室で、好きな女の子に笑顔で『ありがと』なんて言われたら、そりゃあチューもしたくなるよ」
「ええ!?そうなの!?」
じゃあ、お礼を言わなければよかったのか?
いや、でも普通お礼言わなきゃいけないところだよね、あれは。
「……でも、いくら何でもファーストキスあんなふうに奪う!?し、しかもなんかすごい、濃厚な……ほうの……」
「ディープキス?」
「言わなくていいわ!!」
そうだよ。高村くんは、あたしの大事な大事なファーストキスを、あんな場所であんなシチュエーションで奪ったんだ。
これは許され難き行為!
「で、その状況からどうやって教室戻ってきたの?」
ひーが問いかけた。