豪快に笑う高橋につられて、雪乃も笑った。

「ようやく笑ったね。それでいいんだよ」

「はい。気持ちで負けちゃうところでした。もう大丈夫です。ありがとうございました」

 高橋はノートを鞄にしまうと、
「このまま待つように言われるはずだよ。この後、君の大切な恋人が待っているはずだから」
と言った。

「え!?彼が来てるんですか?」
思わず立ち上がった雪乃が両手で口を覆って驚く。

「ふふ、じゃあまたね」

 軽く手を振って出てゆく高橋を、雪乃はそのままの格好で見送った。