弾きながら、公園の一番近くにある家になんとなく目を向けた。


2階の窓……カーテンの隙間から、俺と同い年ぐらいの女の子が俺を見ている。
どうやら、俺のヴァイオリンを聴いてくれてるみたいだ。


あまりにも綺麗なその顔に、一瞬心臓が跳ね上がるのを感じた。


だけど、その綺麗な顔は、どこか寂しげで、憂いを帯びている。


少女は目を閉じ俺の演奏を静かに聴いていたかと思うと、次の瞬間一筋の輝くものを頬に伝わせた。


涙……?
泣いてるのか…?


何故泣いているのかわからない。

嫌なことがあったのかもしれないけど、俺の演奏が彼女を泣かせてしまったんだ。


だけど、演奏を途中で終わらせると彼女に不自然に思われる。


一曲だけ弾いて、今日は静かに家に帰ろう。


そう思いながら、一曲弾き終えた。