またその話か、と、ため息をついた。
自然と、まゆとまゆの間にシワがよってしまう。
アキの話のレパートリー。
スミトモくんの話。バスケの話。その次くらいに多いのが、この手の話だ。
アキは、必要以上に、わたしと田岡をくっつけようとする。
田岡とわたしは、一年のころから同じ塾に通っている。家から歩いていける、少人数制の個人塾だ。
なんの折りだったか、アキにそのことを話したときから、アキはずっとこんなかんじだ。もういいよってくらい、いちいち報告してくる。
「今日、田岡くん体育でソフトしてたよ」とか、「田岡くん、アイスなら抹茶派らしいよ、しぶいよねぇ」とか。
なんでそんなの知ってんの、と思ったら、田岡と、アキの彼氏のスミトモくんは、仲がいいらしい。なるほど。
困ったことに、アキのアタマの中では、「同じ塾に通っている」という事実が、「ハチは、田岡くんがだーいすき」に、変換されてしまっているようだった。
「ね、あれからなんかなかったの?」
「・・・べつにないよ」
「前も言ったけどさぁ、今度遊びに行こうよ!四人で!!日曜とかさぁ、部活休みじゃん!!」