ピンクと水色なら、たぶん水色。
まぶたの裏に浮かんだ、たくさんの色のなかで、わたしは青っぽい色をさがす。
青。透明なあお。なみだの色。
でも、切ないって、泣くのとはちがうでしょ?泣くのは、悲しいときでしょう?
切ないと悲しいの、境界線はどこ。
目をつむる。ふわぁと、奥のほうから、わたげのような眠気がやってくる。
それが体中に広がる瞬間は、とても気持ちいい。
完全に眠りに落ちてしまうまえに、心でつぶやく。
ねえ、DJのお兄サン。東京、大阪、長野、兵庫、大分、あと、広島。全国の中高生のみなさん。
──中学二年生で、今まですきなひとがいないって、おかしいですか?
わたしがラジオ番組に投稿するなら、きっと、この一文。
ラジオ番組なら、匿名オーケーだから、安心だ。
三橋八子。みんなにわたしだと、知られることがない。
誰が好き?今までにつき合った人は?どういう男子がタイプ?
そんなふうに、にぎやかに会話をはずませている、学校のみんなには知られない。