今朝も、アキからメールが届いた。
いつもの、絵文字つきのかわいらしいメールだった。
返信もしない、わたしに。
アキは、こんなふうに悩みながら、送ってくれていたのだろうか。
わたしなんかを、あきらめないで、いてくれたのだろうか。
もしかしてカギがしまっているかも、と思っていたけれど、教室は開いていた。
開いていたというより、ドアが全開にしてあった。
夏だから、換気のつもりだろうか。無用心な気はするけれど。
久しぶりの教室に、足を踏み入れる。
廊下とはまたちがう感触が、靴裏にひびく。
並んだ机の列。
白っぽさがのこる黒板。
誰かの落書き。
掲示板に、めり込んだ押しピン。
胸がきゅーっとしぼられるような気持ちになった。
息苦しいわけじゃない。なんだろう。どうしたんだろう。涙が出そうだ。
…わたしの世界は、こんなに、ちっぽけだったんだなぁ。
この四角い空間は、せまくて、たくさんの人がいて。
みんなで空気を奪い合って、ここにとどまるために、自分の形を変えなければいけないって、そう思っていた。