真っ赤な顔で怒鳴ると、勢いよくドアを閉めて、出て行ったお母さん。

一人になった部屋。ベッドに座ったまま、あぜんとしていた。


お母さんが、あんなに取り乱して怒るなんて。

不意打ちにあったようだった。

まだ反抗心も、ほかの感情もわいてこないうちに、再び、部屋のドアが開く。


開けたのは、またお母さんだった。

怒っているのと、泣いているのがいっしょくたになった顔で、せんたくものの山を抱えて、部屋に入ってきた。


ドサリと、落とす。

なにもない床の空き地にきずかれた、色とりどりの山。


そうしてお母さんは、わたしに背を向けると、洗濯物を一枚一枚、たたみはじめた。


…いったい、なにしてんの。


あっけにとられたままの、わたしの目の前。

グズッと鼻をすすりながら、お母さんは、たたみ続ける。その手は、止まらない。


数秒考えたあと、ベッドにゴロンと転がった。

お母さんに背を向けて、ため息をつく。


面倒くさい、と思った。

なんで、お母さんが、すねたみたいな顔をしてるの。

やっかいだと思ってるくせに、なんで、わたしの部屋に来るの。