がくぜんとした。

チャンネルをさわって、ちがう番組に変えてみる。けれど、どこにも、あの低い声はみつからない。

どこにもない。


リモコンが、手からすっぽぬけて、床に転がる。

どうやらその、まさか、は当たっているようだった。

ラジオを聴かなかったこの数日で、お兄サンのお悩みコーナーの番組は、放送を終えてしまっていたのだ。


こんなことって、ある?

目はかわいているのに、泣くときに似た感覚がこみあげて、鼻がツンとした。

なくしてしまった。わたしが、息をする場所。

もう本当に、どこにも逃げ場が、なくなってしまったような気がした。


近くに転がる携帯の充電は、九十パーセント台をたもったまま。

だって、使っていないから。だれからも、連絡は入らない。

アキからのメールも、今日は来ていなかった。

もしかしたらもう、来ないかもしれない。いっこうに返信しないわたしに、愛想をつかしてしまったかもしれない。


来るなって思ってたのに、来ないと心細くなる。

わたしは勝手だ。全部きらいで、全部いらないのに、さみしいなんて、すごく勝手だ。