どうしてだろう。フラッシュバックのように、スカートの水たまり。
カエルのたまごのかたち。脱げかけの、靴下が浮かぶ。
飛び出していった田岡。それを、突っ立って、見ていたわたし。
茶色いはずの机が、赤黒く見えて、吐き気がこみあげた。
だめ。考えちゃ、だめ。
なのに、訴えかけてくる、この気持ちはなんだろう。
さわがしい、教室。
ランランと光る瞳。
高らかに笑っている、嶋田さんたち。
目を攻撃する、蛍光ピンク。白い、ガーゼ。
授業中に回る手紙の、異常な数。
そこになにが書いてあるかなんて、容易に想像できて。
たまらなく、息ぐるしさを感じた。
ちがう、わたしは、関係ない。肺がキリキリと痛み出す。
勉強する。勉強する。勉強する。
机の上にのった、教科書を開こうとする。
死ねよ。あざやかな黒の文字が、その上に刻まれた気がした。