まずは、駅前のアイスクリーム屋さんの前で、待ち合わせするでしょ。
それから、お昼はマック──ううん、先にアイス食べちゃってもいいかなぁ。暑いし。洋ナシチーズケーキっていう新作、今度出るらしいんだよねぇ。


アキが勝手に立て始めた日曜日の計画を、右から左へ。左から右へ。

両耳をトンネルにして、適当に聞き流しながら、わたしは時計をみた。


午前七時五十五分。ここから五時間ちかく、たーっぷり受けなければいけない、つまらない授業。

わたしたちのカッピカピにかわいた脳みそは、これ以上吸い込めない、ブッチュブチュの濡れ雑巾になるまで、勉強漬けにされるのだ。

勉強漬け。ぬか漬け。しば漬け。梅干しはすきだけど、たくあんは、きらい。でも、勉強漬けが、いちばんきらい。


・・・っていうか。


ほおづえをつきながら、わたしは考える。っていうか。最近の、わたしの口ぐせ。

っていうか、正直。塾のほうが、勉強がはかどる。


なんでだろうって、前に考えたことがあって、そのときわたしは、ある答えに行き着いた。

きっと、塾は、勉強だけすればいいところだからだ。

勉強も、スポーツも、部活も、友だち関係も、レンアイも、いろんなものを全部詰めこみすぎている学校じゃ、学ぶことだけに、全力をそそげない。