いつだって、ごく当たり前に私の隣にいた伊織が、 私を女として見たことは一度もない。 失敗したオムライス。 苦いだけの煙草の味。 置き去りのままの花のかんむり。 「……セナ。答えられなくて、ごめん。」 十五で故郷を離れてから、一度も会っていない。 最後に会ったのは、中学の卒業式。