あれは、中学の卒業式を間近に控えた冬の晴れた日。
二人だけの原っぱで、
私は泣きたくなった。
「怒った?」
「別に。」
「怒ってるだろ?」
「…普通、嘘でも美味いって言わない?」
「俺、正直者だから。」
「…………。」
涙を堪えて、カバンから取り出した煙草。
それを見て、伊織は渋い顔をする。
「不良少女。」
「人のこと言えないくせに。」
ねぇ、気づいてた?
無理やり始めた煙草の理由。
「まだ怒ってんの?」
「…………。」
「…ったく、仕方ねぇなぁ。」
セブンスターは、誰かさんとお揃いだったから。
あの頃も煙草は、
ちっともおいしくなかったよ。