そんな些細な事がきっかけで、付き合って四年。
同棲三年。
私たちは十六歳も年齢が離れていたけれど、問題ではなかった。
遊の話は楽しいし、いつも優しいし、何も問題はなかった。
まるで嘘みたいに、上手く行っていた。
幸せに埋もれてしまいそうになる程だ。
遊は真っすぐに誠実に私を愛してくれた。
私もまた遊を愛した。
この唇も、この身体も、私は遊に捧げたのだ。
それは、完璧な恋だった。
「ただいま」と遊が言って、
私は「おかえり」と言う。
パサパサの卵のオムライスも、
「美味いよ」と言ってくれる。
一雫、一雫、と落ちる幸せ、
完璧すぎる恋だった。
そんな事、分かっている。
分かっているのだ。