夜空に咲き乱れる花火。 保健室に流れる静寂。 雨音は、俺を見据えたまま立ち上がると、 制服のネクタイを外した。 「あたし、先生に欲情してる。」 手にしていたネクタイを、床に落とす。 口調は穏やかで、言っている事はきっと背伸び。 瑞々しい色香を持つ、 大人でもなく、子供でもなく。 雨音は、俺の言葉を待っている。 瞳は逸らさない、 けれど長い睫毛は震えていた。