グショグショに濡れた服を着るわけにもいかず、部屋にあったバスローブに身を包む。
同じくバスローブに身を包んだ梨子は、円形のベッドの上でコロコロと転がっている。
「…オイ、車酔いは?……もう、大丈夫か?」
「はいっ!いつの間にか、復活です!!」
「そうか。」
梨子に背を向ける形で、ベッドに腰かける。
……ベッドは一つか。
真っ赤な革張りのソファー、俺はあそこで寝ればいい。
「…朔ちゃん。」
「何だよ?」
俺は振り返る事なく、返事をした。
「…朔ちゃん。」
「何?」
「さぁくちゃ〜ん。」
「だから何だよ!!」
振り返った俺の頬を、
なぜか梨子は両手で包むように触れた。