けれど、俺が何よりも恐れていたのは、奥田梨子を失う事。






激しい嵐の中で梨子を背中におぶって、ただひたすら歩いていた時。




俺は、それがどこか現実味を帯びて心底ゾッとした。





梨子を失ったら、自分は生きる意味がないとさえ思った。







しかし、今、冷静になってみて、
そこまで思った自分自身に恐怖したのだ。




あまりに、依存じみている。



それは、とても恐ろしい事のように思えた。










恋でもなく、愛でもなく、依存だとしたら…………。





「……狂ってる…………。」




独り言を呟き、
シャワーを止めた。