「……朔ちゃん…。」
「な、何だよ……。」
「今のって……?」
「………あ〜っと、あー、え、映画じゃねぇ?
ほ、ほら!ラブストーリーとか…。」
「ラブストーリー!私、大好きなんです!!」
1トーン声が高くなって、ハシャぐ梨子。
「そ、そう……あっ、早くシャワー浴びちゃえよ。」
「あっ!そうですねっ!お待たせしてしまって、申し訳ございません。」
梨子は、トタトタとバスルームへ消えていく。
……よかった………。
梨子がド天然で……疑いもせずに、ラブストーリーだと信じてくれて………。
俺はテレビのリモコンを放り投げて、溜め息をついた。