近くのディスカウントストアで購入した包丁の、冷たい光。
ここまで10分か。
コンビニ『エース・マート』の裏に停めた車の中で、俺は胸を高ぶらせていた。
迷いがないといえば、嘘になる。
でも、きっと大丈夫だ、という根拠のない自信があった。
毎週水曜日の深夜だけ、ここの『エース・マート』は若い女が一人で働いている事を、俺は知っていた。
仕事帰りに寄る事もあったし、あの金髪ライオンの煙草を買いに行かされる事もあったからだ。
俺は、包丁と一緒に買ったキャップを深く被り、マスクをした。
時間がない。
あのライオンが意識を取り戻したら……または、誰かに発見されたら騒ぎになる。