驚いた表情で、顔を上げる梨子。
「いいです!私はっ!」
「よくねぇよ。」
「朔ちゃんはTシャツだけです!風邪をひきますっ!」
……梨子。
俺だって、今、余裕ないんだ。
俺は、梨子の声に耳を傾けず、背を向けた。
それから、屈み込む。
「乗れ。」
「……ッダメですっ!私、大丈夫です!!元気ですっ!!」
「…梨子。言うこと聞けよ。頼むから。
……梨子に何かあったら、きっと俺は耐えられない。」
「…朔ちゃん……。」
………数秒後、首に回される細く白い腕。
俺が背中に背負う君は、
今の俺の全てだ。
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