「………ちゃん……朔ちゃん……。」






俺の名を呼ぶ声がして、目を開ける。







…………あれ?





ぼんやりとする意識の中で、窓の外を見つめると先ほどと変わらない色鮮やかな紅葉。





しかし、車内の時計を見ると…………俺は、どうやら2時間も眠っていたようだ。






「朔ちゃん。」


「あ?」


「……あの。」



運転している梨子は浮かない表情で、言いにくそうに言葉を濁す。




「何だよ?」


「…あの、実は……。」


「うん。」


「……酔いました!!」


「なっ!!?」




車酔いしないでくださいネ☆、って言ってた奴が車酔い………。





「もっと早く起こせばよかっただろ!」


「…だって、申し訳なくて……。」




……ッこのアホ!!
んな事、気にしてんじゃねぇよ!!