俺は、運転する梨子の動作に神経を集中させる。
そうやって観察し続ける俺に、梨子は言った。
「朔ちゃん。」
「あ?」
「私に見惚れてるんですかぁ?」
「…………。」
俺は言葉をなくす。
この、お気楽娘がっ!!
山道を走り続け、途中にあったコンビニで買い出し。
その時に、運転を代わる、と俺は言った。
しかし、梨子は頑なに譲らない。
「何でだよっ!?」
「一度任された事は、最後まで遣り遂げます!途中で投げ出すのは嫌なんです!
この山を越えるまでは絶対に私が運転します!!」
「ッ勝手にしろ!頑固女!!」
「勝手にしますっ!!」
荒っぽく助手席のドアを閉めて乗り込む俺。
同じようにして、運転席に乗り込む梨子。
走り始めた車の中で適当に昼食をとって、急カーブが連続する山道を突き進む。