― 「はみ出した新しい世界で、私達は二人きりなんです。」 そう言って、天使の微笑を浮かべていた梨子。 俺にとっても、 たぶん梨子にとっても、 信じられるのはお互いだけなんだ。 恋と呼ぶには曖昧な、 愛と呼ぶには未熟すぎる。 この感情の名前を、俺は知らない。 だが、もはや願いは一つだった。 いつか……いつか、捕まるその日まで。 梨子の傍で、眠りたい。 俺は、ゆっくりと目を閉じた。