「お食事も、お風呂も、最高でしたね!
さすが、高級旅館です!」
梨子は、ベッドに俯せで横になって、足をバタバタさせている。
「…オイ。」
「はい?」
「……マジで同じ部屋に寝るつもりか?」
「当然です!カップルという事になってますから、別のお部屋では怪しまれます!」
……言ってる事は分かるが…………この女、マジで警戒心なさすぎねぇか?
あまりにも、無防備すぎる………。
浴衣からはだけた細い足………生き地獄だ…。
俺は、なるべく見ないように努めて、隣り合ったベッドに寝転がる。
「朔ちゃんもゴロゴロタイムですか?」
「あ?俺は、もう寝る。」
「え〜。つまんないですよ〜。せっかく修学旅行みたいなのに〜。」
「寝る。」
「あー!!じゃあ、怖い話でもしましょう!定番ですっ!」
「寝る。」
「待ってください〜!じゃ、じゃあ!恋のお話にしましょう!
これも、定番ですっ!」
俺は、もう何も言わなかった。
でも、梨子はそんな事お構いなしに、勝手に喋りだす。