会計を済ませて、ファミレスを後にする。
梨子は、注文した料理を平然と平らげた。
「腹壊すなよ。」
「あのくらい、へっちゃらです!」
エンジンをかけて、俺はアクセルを踏んだ。
外に広がる流れゆく景色は、畑と田んぼ、山ばかり。
随分、遠くまで来たものだ。
右側でも、左側でも、
木々が鮮やかに色づいている。
紅葉のアーチの下を、ベンツは颯爽と駆け抜けた。
「あの……。」
「何?」
「ラジオをつけてもよろしいでしょうか?」
「ラジオ?」
「はい!カーラジオから流れる曲は、ドライブにピッタリなはずです!」
「ピッタリなはず?保証できんのか?」
「できません!」
……自信満々で答えるなっての。