「お好きな物は何ですか?」


適当に入ったファミレスで、梨子はそう聞いた。




昼時を過ぎた平日のファミレスは、静かでいい。






「……甘いもの。」


「甘党なんですか?意外です!」




……そういえば、まともに飯も食ってなかったな。





「私は、大食いなんですよ!」


「……意外だな。」


「よく言われます!」



梨子の声を聞きながら、俺は欠伸をした。


ここへ来て、襲ってくる睡魔と食欲。


そんな俺を見て、梨子は言った。





「ご飯を食べたら、泊まる所を探しましょう!
確か……隣の隣町くらいが温泉地のはずです!」


「………はず?…随分、曖昧な……。
大体、逃亡者が温泉って……マジで、すぐ捕まるぞ。」


「大丈夫ですっ!」




梨子は、なぜか自信満々に言った。