『エース・マート』から、そのままの格好のボケ店員は白いシャツにジーンズ、赤いエプロン、胸の名札にはしっかり“奥田”と書いてある。
……まぁ、青と黒のヒョウ柄のスーツなんか着てる俺と比べれば、全然マシだな。
助手席に奥田梨子を残して、車を降りた。
ドアに凭れかかり、煙草に火をつける。
身体に馴染んだマイルドセブンを、深く吸い込んだ。
周囲は酷く静かで、木々が秋の風に揺れていた。
強盗なんてやっておきながら不謹慎かもしれないが、俺はどこかでとても充実した気分を味わっている。
こんな俺だって、
やる時はやれるんだ。