「では、お名前は?」


「…藤嶋 朔。」


「藤嶋様?」


「朔でいいよっ!……アンタは?」


「申し遅れました。
私、奥田梨子と申します。」





そう言って、ボケ女………奥田梨子は丁寧に頭を下げた。









なぜ、こんな事になったのか……それは、考えねぇ事にした。





強盗という罪を犯し、助手席には殺人者の店員を乗せて逃亡。



考えだしたら、この奇妙な状況に押し潰されそうだ。




狂い続ける俺のペース、
俺は再びハンドルを握り、アクセルを踏んだ。










黒いベンツは、夜の街を駆け抜ける。