どうする……どうする…。 この先の事なんて考えてなかった。 とにかく、 少しでも遠くへ! 俺はハンドルを握りながら、心底焦っていた。 真夜中を走り抜けるベンツは、法定速度をとっくに越えたスピードで疾走する。 ヤバイ!今さら後悔したって、もう遅い事は分かってる! 分かってるが………。 「危ないっ!」 その瞬間、俺は目の前に迫る信号が赤である事に気づいて、思いきりブレーキを踏み込んだ。 間一髪、ギリギリの所で車は停まる。 俺は、息を呑んだ。