「…朔ちゃん、これは復讐なの。」
見上げれば、梨子は冷たい微笑を浮かべている。
「もうすぐ、夜が明けるね。
そろそろ、終わりにしようか。」
もう、何も望まない。
だから、神様。
どうか、俺を殺してください。
現実は残酷だ。
目を背けたくなるほど。
俺はサイテーで、腐ってて、生まれてきた意味なんかきっとなくて――………。
それでも、梨子と出会えた。
それだけは、やっぱり特別なんだ。
26年の人生で、最も幸福で穏やかな数日を梨子は俺にくれた。
たった数日、俺の人生は輝いたんだ。
それが、たとえ、復讐であっても。
俺は、幸せだった――………。