「…その亡骸を、最初に見つけたのはあたしだった。
あのノートには、姉の痛みや絶望が全部詰まってた。何も知らずにいた12歳のあたしは、姉に誓った。
姉を、あたしの大好きなお姉ちゃんを、こんなにした奴らを殺してやるって!!」




梨子の瞳に滲む涙。




俺は、砂浜の砂を握り締める。

手のひらに、ざらりとした感触。




本当に大切な人を失った、梨子の気持ちを俺は想像する事しかできない。








「『チェリー、チェリー、
梨子とあたしは二人で一つよ、
チェリー、チェリー』。
…あの小さな部屋で、子守唄代わりに姉が歌ってくれた。
姉とあたしは、二人で一つだった……。」





梨子は大きく息を吸い込み、それを吐き出した。




「姉を苦しめた男は三人いた。
姉の彼氏だった、九条修也。
ストーカー、竹田陽一。」


「…えっ……。」


「『One』のNo.1ホストと、『エース・マート』の店長。二人とも、あたしが殺したの。
……あたしは、あと一人…殺したい奴がいる。
…姉の初恋の男……藤嶋 朔。」




目を見開く俺。



梨子の表情からは、やっぱり何も読み取れない。