「そうだね、朔ちゃん。
もう終わりにしようか、何もかも。」


「…………。」






言葉を失う。


梨子は小型のピストルを手にして、その銃口を俺に向けた。










「両親が離婚する前の、あたしの名前は水沢梨子。
ご想像のとおり、水沢詩織はあたしの姉なの。」





梨子は怖いくらいに無表情で、その話し方は無機質だった。


まるで、何の感情もないような。






「両親が離婚して、別々に暮らすようになってからも、あたしと姉は仲が良かった。
あたしは姉が大好きで、何度も何度も家出しては、この町に来ていた。
姉に会いたくて、ね。」





梨子は、俺から目を逸らさずに言葉を続ける。



「『スナック・リンダ』のあの部屋は、昔からあたしと姉の秘密基地だった。
リンダママは元々、母の友人なの。」









俺は、ただ梨子の話を聞くことしかできない。






俺の仮説は当たっていた。

だが…………。