「ちゃんと出会って、ちゃんと始めたいんだ。
梨子と二人で、当たり前の未来を生きるために。だから…自首するよ。」





俺はそこまで言って、波打ち際まで歩いた。








「……梨子、俺の質問に答えてほしい。」


それが、どんな真実だとしても。


「梨子と水沢は………。」


梨子を必要とし、梨子を愛してる。

それで、充分じゃねぇか。


「梨子と水沢は、姉妹なんだろう?」






そう口にした瞬間だった。




俺は背中に強い衝撃を受けて、顔面から海に転がった。





何が起こったのか分からず、慌てて顔を上げると梨子が俺を見下ろしている。



海水の中に座り込んだ俺に落とす眼差しは、凍えるほど冷たい。







「梨子……?」






俺は絞りだすように言った。




梨子は力なく笑う。