まだ薄暗い空、
俺は眠っていた。
そして、何気なく目を覚ます。
ふと、隣を見つめると、梨子は布団から出て俺に背を向けている。
目を擦りながら、俺も起き上がる。
電気もつけずに、一体何を……。
もう一度、梨子に視線をやって、俺は目を見開いた。
梨子が手にしていたもの、それは、あの赤いノート。
見つめていたのは、梨子と水沢が写った写真だった。
……枕の下に入れていたのに、いつの間に…。
背筋をすぅーっと、冷たい空気がなぞる。
梨子は、こちらに顔を向けずに呟いた。
「朔ちゃん、散歩に行かない?」
「え…?」
「夜明けの海を、散歩しようよ。」
梨子は微笑む。