「……誰を殺すつもりなんだ?」
梨子の瞳が、見開かれた。
「昨日、聞いちまったんだよ。……梨子、本当の事を言ってほしい。
俺は、確かに梨子の事を何も知らねぇけど……知らねぇから、知りてぇんだよ。」
梨子は俯いてしまった。
ただ、波の音だけが響く。
どれだけの沈黙が、俺たちの間に流れていたのか分からない。
口を開いたのは、梨子だった。
「……今さら、知る必要なんてないでしょう?」
「えっ?」
梨子は一瞬の間の後、寂しそうに微笑んで言った。
「朔ちゃん。
あたしは、ずっとあなたを見ていたの。」
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