「さぁくちゃん!」
梨子は耳元で呟く。
それから、俺の頬や首筋にキスを落とした。
いくつも、いくつも。
「海、綺麗ですね。」
「あぁ。」
俺は、梨子をおぶったまま白昼の砂浜を歩く。
すでに季節外れの海に、人の姿は見当たらない。
「梨子。」
「はい?」
「…愛してるよ。」
俺の言葉に、梨子は何も言わず、ただぎゅっと抱きつく。
愛してるよ、
その言葉に嘘は微塵もない。
梨子を愛してる。
可愛くて、可愛すぎて、どうしようかってくらいに。
俺の中だけに閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくない。
離れたくはないし、
梨子がいなくなるなんて、例え想像だってしたくない。
………ずっと一緒にいたい。
……ただ、ずっと一緒にいたいだけなんだ。